経営支援集団スリーフォルム

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04月

保証と連帯保証の違い

一般的な契約では、連帯保証人を立てることが非常に多いのですが、保証には、「単なる保証」と「連帯保証」があります。

まず、保証とは、保証される人(これを主債務者といいます)が契約上の債務を履行しないときに、債権者に対して履行する責任を負うことをいいます。

これは、「単なる保証」でも「連帯保証」でも同じです。

それでは、「単なる保証」と「連帯保証」の一番大きな違いはどこにあるのでしょうか?

それは、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」の有無です。

「催告の抗弁権」とは、債権者が保証人に債務の履行を請求した際に、保証人は、まず主債務者に催告をすべきことを請求することができる権利をいいます。

「検索の抗弁権」とは、債権者が保証人に催告の抗弁権を主張されて主債務者に催告をした後でも、保証人が主債務者に弁済能力があって、かつ執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主債務者の財産について執行しなければならないことを主張できる権利をいいます。

そして、「単なる保証」の場合は、保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」がありますが、「連帯保証」の場合は、連帯保証人にこれらの権利がありません。

そうすると、連帯保証の場合は、主債務者が履行しないときには、債権者は無条件で連帯保証人に履行の請求ができることになります。

このような違いがあるため、契約で保証人を立てる場合は、そのほとんどが連帯保証となるのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

期間の計算

継続的な関係が発生する契約内容では、必ず契約期間が設けられます。

それでは、期間はどのように計算するのでしょうか?

まず、期間の最初の日が24時間を満たない場合(例えば、4月1日に契約を締結して同日を初日にする場合。)は、初日を参入しません。

これを、「初日不算入」といいます。

この場合は、契約期間が例えば4月1日から10日間とした場合、末日は4月11日となります。

一方、契約締結が3月31日で、期間の初日が4月1日の場合は、初日を算入します。

この場合は、契約期間が例えば4月1日から10日間とした場合、末日は4月10日となります。

この他にも、週や月、年単位で期間を定めることが多いですが、期間の計算で勘違いしないよう十分に注意しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書を公正証書にする意味

契約内容を書面にする際に、公正証書で作成するケースがあります。

公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公文書のことをいいます。

それでは、契約内容を公正証書で作成する意味はどこにあるのでしょうか?

まず、公正証書は「公文書」であるという点です。

これに対し、契約当事者間で作成した文書を「私文書」といいます。

「私文書」の場合ですと、改ざん等のリスクが無いわけでないので、その際に変更されてしまった内容についての立証に労力を割くことになります。

一方で、「公文書」の場合は、改ざん等のリスクはほとんどありませんので、公文書であるというだけで非常に高い証拠力が認められます。

次に、公正証書に執行力を持たせることが可能であるという点です。

ここでいう「執行力」というのは、分かりやすくいえば、裁判で判決をもらわなくても強制執行ができるという意味です。

ただ、「執行力」を持たせることができるのは、例えば、売買代金の支払いや貸金の返還など、金銭の支払いを内容とする場合に限られます。

そして、「執行認諾文言」を必ず公正証書に盛り込まなければなりません。

裁判手続きを経ないで強制執行ができることになるので、金銭の支払いを内容とする契約については非常に強力なものとなります。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書が取れないときの対応

契約書の作成を打診した際に、「ウチを信用してるんでしょ?」といった形で契約書の作成を避けようとするケースがあります。

このような場合は、どのように対応すれば良いでしょうか?

まず、本当に相手が信用できるのでしたら、契約書を作成しないのも一つの選択肢でしょう。

次に、取引内容の確認的な体裁で書類を作成して、相手の押印を求めることも有用です。

これは、条項立ての契約書には抵抗があっても、メモ書き程度のものであれば意外にあっさりと押印することも多いからです。

これだけでも、証拠力が立派に認められる書類になります。

信用できる相手だとの確信がなく、何の書類も取れないような場合は、契約未成立として処理することも考えましょう。

相手業種の慣習なども考える必要もありますが、原則論からすれば契約は「申込」と「承諾」によって成立します。

口頭で成立済の契約を未成立とするのは矛盾しますが、書類を作成していないことのリスクを補うために、あえて未成立である旨の書類を相手に送ります。

つまり、契約書への押印が契約成立の条件とする考え方で対応するということです。

それでも、相手が契約は口頭で成立しているとして強引に取引を進めようとすることも考えられます。

そこで、口頭での交渉の段階で「契約の成立時期は契約書への記名押印時とする」として交渉を進めてリスクを減らしましょう。

その際には、「忘れないため」と言って交渉を録音する工夫も考えましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(役員)

相手企業の登記事項証明書で、あなたは役員欄をどのように見ていますか?、

例えば、ある時期に突然役員全員が入れ代わっていた。

この場合は何が想定できますか?

企業買収があった可能性があります。

また、ある役員が「解任」されていた。

この場合は何が想定できますか?

会社内部で紛争や不祥事があった可能性があります。

安定した取引をするためには、役員全員の入れ代わりや解任の理由を、相手の担当者にしっかり説明してもらいましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(資本金の額)

かつて株式会社を設立するには、資本金が最低1000万円必要でした。

一方、現在では資本金が1円でも株式会社の設立ができます。

では、相手会社の資本金の額が10万円である場合は何が想定できますか?

財産的基盤が不安定な可能性があります。

資本金は、その性質上「返さなくて良いお金」です。

一方で、銀行などの金融機関からの借入れは「当然に返さなければならないお金」です。

取引内容に比べて資本金の額があまりにも少ない場合は、取引先の資金がショートするリスクが高くなります。

相手の財務内容をしっかりと把握しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(目的)

相手企業の登記事項証明書をチャックする際のポイントの1つとして、目的がどのようになっているのかがあります。

例えば、登記事項証明書での目的と実際の事業が合致しない。

この場合は何が想定できますか?

会社を騙っている可能性があります。

また、目的の範囲外の取引については、後から無効を主張されるリスクも存在します。

では、事業内容と目的が一致している場合の注意点は何でしょうか?

例えば、許認可が必要な事業であるにもかかわらず、必要な許認可を取得していないケースがあります。

取引先が必要な許認可を取得していないが故に、取引先が行政処分を受けたりすると、取引停止のみならず、売掛金の回収が困難になるリスクが非常に大きくなります。

相手の事業内容についてのコンプライアンスチェックをしっかり行いましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(商号と本店)

あなたが新しい取引先を開拓しようとするときは、何をチェックしますか?

チェックする書類の1つに、相手企業の登記事項証明書があると思います。

ここでチェックすべきポイントの1つは、商号と本店の来歴がどのようになっているのかです。

例えば、商号や本店が頻繁に変わっている。

この場合は何が想定できますか?

過去に不祥事や不渡りがあり、それを隠すために変えている可能性があります。

また、会社の設立日が古くても、企業買収が行われて実質的には新しい会社となっている可能性もあります。

相手企業の担当者に事情をしっかりと説明してもらい、あなたの想像しているイメージとのギャップを埋めましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

定型的な契約書を作成する意味

同一商品で多数の販売先がある場合や、同一取引先で継続的に商品売買を行う場合があります。

このような場合に、その都度最初から契約書を作成していると時間効率に無駄が出ます。

そこで、効率的に取引を進めるにあたって、自社で定型的な契約書を作成しておくという工夫が考えられます。

では、定型的な契約書を作成することのメリットとデメリットは何でしょうか?

メリットとしては、
・都度契約書を作成する手間が省ける
・自社に有利な内容を予め盛り込むことができる
・どの取引先にも画一的に契約内容を提示できる
といった点が挙げられます。

デメリットとしては、
・法改正や新判例が出て、条項を修正する必要がある場合に、
 既に印刷済の契約書が無駄になる
・条項修正の必要性に気づかず、そのまま使用してしまう
・既成のものがあることに安心して、
 逆にコンプライアンス意識が希薄になる可能性がある
といった点が挙げられます。

定型的な契約書を作成する場合は、法改正や判例の動向にも注意して、効果的に利用するように心がけましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

注文書は契約書になる?

商品の売買契約や建設業等での請負契約の取引の際に、いわゆる契約書を作成することなく、注文書が送られてきたら商品を発送したり工事に取りかかったりすることがよくあります。

では、注文書だけで契約書を作成したことになるでしょうか?

答えは、NOです。

というのも、契約は「申込」と「承諾」で成立します。

そして、注文書は「申込」にはなりますが、これに対応する「承諾」がないからです。

それでは、注文書を活かして契約書とするにはどうすればよいでしょうか?

それは、注文請書を作成して(または作成してもらって)、注文書と合わせることで契約書とすることができます。

つまり、注文請書が「承諾」になるので、「申込」である注文書と「承諾」である注文請書を合わせると、契約の成立要件である「申込」と「承諾」があった事実を証明することができるのです。

「契約書」は1つの書類で作成しなければならないというルールはありませんので、上記のケースの様に2つの書類を合わせて契約書とすることもできるのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所