経営支援集団スリーフォルム

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05月

契約の金額

ビジネスでの契約では、そのほとんどに対価を伴います。

そして、当たり前のように売買金額や報酬額が決められます。

それでは、金額を定める際に注意する点は何でしょうか?

まず、国内取引ではあまり馴染みがない点ですが、国際取引を行う場合は通貨の問題が発生します。

そして、為替レートが時々刻々と変動しています。

そこで、どの通貨で金額を定めるのかを決め、適切なタイミングで為替予約をしましょう。

次に、印紙税と消費税の関係で、金額の表記が問題になります。

例えば、請負金額で①1,050万円(内、消費税等50万円)、②1,050万円(税込)とした場合に、印紙税額の違いが出るでしょうか?

結論としては、①の印紙税額が1万円で、②の印紙税額が2万円(本則)となります。

この結論の違いは、「消費税額等が区分記載されているとき又は、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合」かどうかということになります。

①の場合は、消費税等の金額が明記されていますので、「明らかな場合」となり、印紙税の課税対象となる金額は1,000万円の部分となります。

一方、②の場合は、消費税等税額が「必ずしも明らかではない」ので、印紙税の課税対象となる金額は全体の1,050万円となります。

このように、表現ひとつで異なる結果を招くのが金額の部分です。

十分に注意して契約書の表記を検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の目的物・サービス内容規定

契約内容で最も重要な事項の一つとして、契約の目的物やサービスの内容が挙げられます。

売買契約では、どのような商品なのか、どのようなサービスの提供を受けるのかをしっかり特定する必要があります。

また、業務委託契約では、どのような業務をお願いするのか、どのような内容で受けるのかをしっかり特定する必要があります。

製造請負契約やOEM契約では、どのような仕様に基づいて製品の製造を行うのかをしっかり特定する必要があります。

これらの内容が明確になっていないと、目的物の納品や受けたサービスの内容が契約当初にイメージしていたものと異なる場合、提供する側としてはクレームを受けるリスクを負うことになりますし、受ける側としては相手に代替物の納品や損害賠償の請求が困難になるリスクを負うことになってしまいます。

ビジネスでの契約は、必ず対価を伴うものになりますので、契約の目的物やサービスの内容に疑問を差し挟む余地のない程度に明確にしましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の定義規定

表記の長い用語が複数回使われる場合や、一つの言葉に複数の意味が考えられる場合には、契約条項の初めの部分に定義規定を置くことがあります。

それでは、定義規定を置くことの意味はどのようなところにあるのでしょうか?

まず、表記の長い同じ用語が複数回使われる場合には、その都度表記していたのでは読みにくくなってしまいます。

そこで、表記の長い用語を短い言葉で定義することで、迂遠な表現を極力避けることができます。

次に、一つの言葉に複数の意味が考えられる場合には、解釈上争いが生じてしまう場合があります。

例えば、単に「顧客」と書かれていた場合、どのように捉えられますか?

様々な捉え方が出てきたのではないでしょうか。

そこで、定義条項で、例えば「顧客とは、甲に対して○○の購入を注文した者をいう。」のように規定することで、契約上の「顧客」の意味を明確にすることができます。

「商品」とか「製品」といった記載も、上記と同様の問題が生じ得ますので、定義条項を活用することで無用な争いを避けるようにしましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の前文

ほとんどの契約書では、契約書のタイトルの次の部分に、「○○を売主(以下、「甲」という。)とし、●●を買主(以下、「乙」という。)とし、次のとおり動産の売買契約を締結する。」といった記載がなされます。

これには、どのような機能があるのでしょうか?

1.当事者の特定

誰が契約の当事者であるかを特定します。

そして、契約書の全部に当事者の氏名や商号をその都度記載するのは迂遠ですので、便宜「甲」や「乙」などと言い換えて、契約条項中では簡略な形で表現します。

2.契約内容の特定

どのような内容の契約を締結するのかを特定します。

例えば、売買契約なのか請負契約なのか、基本契約なのか個別契約なのか、付随契約なのかといった部分の特定をします。

また、債務承認契約や損害賠償の示談では、何時発生した何の債務なのか、どういった損害なのかを特定する部分でもあり、非常に重要な機能があります。

この他、当事者が契約締結にあたっての経緯や動機を記載することもあります。

経緯や動機が記載されている場合には、後日争いになった際に、解釈の指針としての意味を持ってくることがあります。

普段は、個別の条項に目が行きがちですが、前文にも重要な機能がありますので、十分注意して内容を検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

確定日付の活用

確定日付とは、その日にその文書が存在していたことを証明するものをいいます。

それでは、確定日付は主にどのような場合に使うのでしょうか?

まず、法律上要求されるものとして、債権を譲渡したときに第三者にも主張できるようにするために、債務者に債権譲渡の通知をする場合の通知や、債権譲渡についての債務者の承諾書があります。

これは、主に内容証明郵便で行います。内容証明郵便の日付も確定日付となるからです。

次に、抵当権設定などの担保権の取得が、租税債権との関係で法定納期限以前であることを証明するために、担保権設定契約書に公証役場で確定日付の付与を受けることがあります。

これは、担保権と租税債権の優劣について、法律上、担保権が優先するには租税債権の法定納期限以前に取得したものである必要があるからです。

最後に、時効中断のために確定日付を活用します。

時効が中断する事由の一つとして、「債務者の承認」があります。

債務者が作成した債務の承諾書のみでもその時効中断の効果が認められますが、作成日の立証を容易にするために、公証役場で確定日付の付与を受けます。

この他にも、保証契約で確定日付の付与を受ける場合などの活用方法もあります。

様々な場面で確定日付の活用が考えられますので、「日付」が重要な場合は確定日付の付与を検討しましょう。

なお、公証役場で受けられる確定日付の文書は、「私文書」に限られます。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

保証の契約当事者

契約で保証人を立てる場合、「(連帯)保証人は、債務者が負担する債務の一切を保証し…」と契約書に書かれます。

保証も契約ですが、それでは保証契約は誰との間で結ばれるものでしょうか?

それは、債権者と保証人です。

つまり、主債務者と保証人ではないのです。

保証人には主債務者からなってもらうようにお願いされますが、契約はあくまで債権者と結ぶことになります。

そうすると、例えば、主債務者が十分に債務を弁済する能力を備えたので保証を外してもいいなと思っても、保証を外すにあたっては債権者の承諾が必要となります。

また、会社の代表者の借り入れに配偶者を連帯保証人とするケースがよくありますが、配偶者を連帯保証の負担から解放しようとして別の人を連帯保証人としようとした場合、やはり保証契約の当事者は、あくまで債権者と連帯保証人ですので、債権者が納得しなければ連帯保証人を変更することができません。

誰を保証人としてお願いするのかも重要ですが、保証契約が誰との間で締結されるのかということも、しっかりと覚えておきましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所