民法上、故意または過失によって債務不履行があった場合は、相手に対して損害賠償を請求する権利が認められています。
民法の原則通りの権利とする場合は、敢えて契約書に明記する必要はありません。
一方、①損害賠償を免除する場合、②民法の原則よりも加重する場合、③損害賠償額の予定を定める場合などでは、契約書に明記する必要があります。
まず、①については、例えば、「本契約によって乙に生じる損害の一切を甲は負わない」とするような場合です。
これは、無料のコンテンツの利用など、商品やサービスを無償で提供する場合に設けられることが多い規定です。
次に、②については、例えば、「遅延損害金を年14.5%ととする」と規定するような場合です。
これは、金銭債権について支払いが遅れた場合は、民法上の法定利率が年5%(商法の適用がある場合は、年6%)であるところ、当事者間の合意で10%ととするように、法定利率よりも高い利率で遅延損害金の利率を定めることです。
最後に、③については、当事者間で損害賠償の額を具体的に予定する場合です。
この場合、よく「違約金」として記載されることが多いのですが、民法上「違約金」が損害賠償額の予定と推定されるので、「違約金」の定めがある場合は、実際の損害賠償額より「違約金」の額が多くても少なくても、当事者は原則として「違約金」の額の請求又は支払をもって損害賠償について解決することになります。
なお、労働契約や就業規則で「違約金」を定めると、賠償の予定の禁止(労働基準法16条)に抵触するので、その部分について無効となります。
この他にも、損害賠償規定は、契約内容によって個別具体的に定めることも多くありますので、様々なケースを想定して、お互いの契約内容の実現に向けて検討しましょう。
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