契約内容の不履行がある場合、裁判になると、法律で定められた管轄の裁判所に訴えを提起することになります。
そして、どの裁判所に訴えを提起するかについて、当事者で合意して決めることもできます。
これを、合意管轄といいます。
よくある例としては、売主の本店所在地を管轄する裁判所とする場合や、賃貸人の住所地を管轄する裁判所とする場合があります。
ところが、裁判所の管轄を一方的に決められてしまうと、例えば、買主が沖縄で売主が東京の場合で、管轄裁判所を東京地方裁判所としてしまった場合、買主は沖縄にいるのに訴えはわざわざ東京地方裁判所に提起するという負担を強いられてしまいます。
そこで、遠隔地の当事者間で訴えを提起する場合は、それぞれ相手方の住所地や本店所在地を管轄する裁判所に訴えを提起すると定めることによって、公平性を保つこともあります。
ここで、合意の管轄について「専属的」なのか「付加的」なのかについて、契約書の書き方で左右されてしまう点に注意が必要です。
明示的に「専属的」であることを記載しないと、「付加的」なものになってしまい、法律で決められた裁判管轄に加えて、合意した裁判管轄の中からどれかを選べるようになってしまいます。
通常、合意管轄を定める場合は、裁判所を絞る趣旨ですので、必ず「専属的合意管轄」であることを記載するように注意しましょう。
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