経営支援集団スリーフォルム

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契約

契約の保証条項

商品や製品の品質などについて、契約では保証条項が設けられることがよくあります。

例えば、家電製品の保証やPCソフトの動作保証などです。

逆に、一切保証しないというケースもあります。

例えば、中古品の品質の完全性について保証しない場合です。

こうした品質の保証に関する内容とは別に、第三者の権利侵害をしていないことや、財務内容が真正であることを保証することがあります。

これらの保証については、いわゆる「表明保証」といわれるもので、その内容が真実でないことが明らかになった場合に、何かしらのペナルティが課せられることとなるケースが多く、M&Aによく用いられます。

ペナルティの例としては、契約解除事由にしたり、損害賠償の対象としたりします。

表明保証は、法律上規定されているものではなく、アメリカの契約実務を日本に取り入れたものといわれてます。

あまり馴染みのないものかも知れませんが、今後は品質などの保証だけではなく、契約締結時の事実についての表明保証を加える取扱いも増えてくるでしょう。

保証については、相手に安心してもらう材料という点では同じですので、上手く活用して取引を円滑に進めるように工夫しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約の瑕疵担保責任条項

商品の売買契約では、瑕疵担保責任について定めることがほとんどです。

瑕疵担保責任というのは、取引上要求される一般的な注意を払っても見つけられない欠陥があった場合に売主が負う責任のことをいいます。

瑕疵担保責任が認められる場合は、契約の解除や損害賠償が認められ、請求できる期間は、民法では1年(570条、566条3項)、商法では6か月(526条2項)とされています。

もっとも、瑕疵担保責任についての法律規定は任意規定(契約でその内容を変更できる規定)ですので、これを排除したり、逆に加重することができます。

例えば、商取引で新品の商品売買の場合は、瑕疵担保責任の期間を1年に伸ばしたり、逆に中古の商品売買では瑕疵担保責任を負わない、または期間を3か月に縮減したりすることが可能です。

買主が消費者の場合に注意しなければならないのは、消費者契約法10条による無効の対象となるような内容にしないということです。

商品の性質や内容に関わらず、一律に瑕疵担保責任を負わないとするような規定にしてしまうと、消費者の利益を一方的に害する規定と判断され、無効となってしまいます。

瑕疵担保責任は、目的物についての保証の性質がありますので、商品の性質・内容や取引の実態に合わせて、瑕疵担保責任の内容をしっかり検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約と危険負担条項

商品や製品の売買契約では、「危険負担」について定めることがほとんどです。

ここで、「危険負担」とは何かというと、債権者と債務者双方に責任がないケースで、商品や製品が滅失または損傷してしまった場合、どちらが損失を負担するのかということです。

民法534条1項は、目的物が特定されている双務契約(ここでは売買契約と考えます。)については、その目的物が債務者に責任なくして滅失し、または損傷したときは、債権者がその滅失または損傷を負担するとしています。

どういうことかというと、売買契約が締結されたら、目的物の引渡前に、大規模地震などで売主の責任無くして滅失または損傷してしまっても、買主は代金の全額を支払わなければならないということを意味します。

しかしながら、これでは取引の実態に合わないケースが多々出てきます。

そこで、民法534条が任意規定(契約で特に決めた場合は排除できる規定)ですので、契約で目的物の引渡時に「売主から買主に危険を移転する」旨の特約を付けます。

このようにして、契約書では危険負担条項を定める事によって、取引の実態に合わせているのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約での納品と検収

商品の売買をする契約では、納品方法の取決めと商品の検収についての取決めが行われます。

まず、納品方法については、商品の性質にもよりますが、直接手渡しなのか宅配業者を利用するのかなど、様々な方法が考えられます。

そして、選ばれた方法について、送料などの負担をどちらが負うのか、売主が出向いてセッティングまで行うのかなど、商品の性質を十分に考えて納品方法を決定しましょう。

次に、検収について、商法第526条は「(第1項)買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査し…(第2項)売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」としています。

「遅滞なく」というのは、正当な又は合理的な理由による遅滞は認めるけれども、すぐにという意味になります。

商法第526条は、買主に義務を認める規定ですので、売主にとっては有利な規定です。

一方で、任意規定(契約で排除することができる規定のことです)ですので、契約で排除することも可能です。この場合は、買主にとって有利です。

とはいえ、契約で排除することは通常の取引ではお互いの立場が確定せず不安要素になります。

そこで、検収については取引の実態に合致するような合理的な期間を決め、検収方法についても合理的で双方が納得できる内容を十分に検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約の損害賠償規定

民法上、故意または過失によって債務不履行があった場合は、相手に対して損害賠償を請求する権利が認められています。

民法の原則通りの権利とする場合は、敢えて契約書に明記する必要はありません。

一方、①損害賠償を免除する場合、②民法の原則よりも加重する場合、③損害賠償額の予定を定める場合などでは、契約書に明記する必要があります。

まず、①については、例えば、「本契約によって乙に生じる損害の一切を甲は負わない」とするような場合です。

これは、無料のコンテンツの利用など、商品やサービスを無償で提供する場合に設けられることが多い規定です。

次に、②については、例えば、「遅延損害金を年14.5%ととする」と規定するような場合です。

これは、金銭債権について支払いが遅れた場合は、民法上の法定利率が年5%(商法の適用がある場合は、年6%)であるところ、当事者間の合意で10%ととするように、法定利率よりも高い利率で遅延損害金の利率を定めることです。

最後に、③については、当事者間で損害賠償の額を具体的に予定する場合です。

この場合、よく「違約金」として記載されることが多いのですが、民法上「違約金」が損害賠償額の予定と推定されるので、「違約金」の定めがある場合は、実際の損害賠償額より「違約金」の額が多くても少なくても、当事者は原則として「違約金」の額の請求又は支払をもって損害賠償について解決することになります。

なお、労働契約や就業規則で「違約金」を定めると、賠償の予定の禁止(労働基準法16条)に抵触するので、その部分について無効となります。

この他にも、損害賠償規定は、契約内容によって個別具体的に定めることも多くありますので、様々なケースを想定して、お互いの契約内容の実現に向けて検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

保証と連帯保証の違い

一般的な契約では、連帯保証人を立てることが非常に多いのですが、保証には、「単なる保証」と「連帯保証」があります。

まず、保証とは、保証される人(これを主債務者といいます)が契約上の債務を履行しないときに、債権者に対して履行する責任を負うことをいいます。

これは、「単なる保証」でも「連帯保証」でも同じです。

それでは、「単なる保証」と「連帯保証」の一番大きな違いはどこにあるのでしょうか?

それは、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」の有無です。

「催告の抗弁権」とは、債権者が保証人に債務の履行を請求した際に、保証人は、まず主債務者に催告をすべきことを請求することができる権利をいいます。

「検索の抗弁権」とは、債権者が保証人に催告の抗弁権を主張されて主債務者に催告をした後でも、保証人が主債務者に弁済能力があって、かつ執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主債務者の財産について執行しなければならないことを主張できる権利をいいます。

そして、「単なる保証」の場合は、保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」がありますが、「連帯保証」の場合は、連帯保証人にこれらの権利がありません。

そうすると、連帯保証の場合は、主債務者が履行しないときには、債権者は無条件で連帯保証人に履行の請求ができることになります。

このような違いがあるため、契約で保証人を立てる場合は、そのほとんどが連帯保証となるのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書と覚書

ジネスを続けていると、取引に関する書類が多く作成されます。

その中でも、契約関係では契約書と覚書が多く作成されます。

ところが、契約書と覚書について誤解がなされていることがあります。

どういうことかというと、
感覚的に、契約書というと契約内容を網羅しているので、法的効力が最も強く、
覚書というと確認事項の備忘録のように捉えられているケースがあるのです。

ここで、「契約」とは何かというと、
権利義務関係について「申込」と「承諾」によって成立する当事者間の合意をいいます。

分かりやすくいえば、当事者同士で合意が成立すれば、
法的な拘束力が発生するのが契約ということになります。

しかも、原則として書類を作成しなくても、契約は成立します。

ということは、書類を作成した場合であっても、
そのタイトルが「契約書」であろうと「覚書」であろうと、
当事者間の合意が成立すれば法的な拘束力が同等に発生します。

つまり、「契約書」と「覚書」の法的効力は同じということです。

ですから、「覚書」だから軽視できるというわけではありませんので注意しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所