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証拠力

契約書を公正証書にする意味

契約内容を書面にする際に、公正証書で作成するケースがあります。

公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公文書のことをいいます。

それでは、契約内容を公正証書で作成する意味はどこにあるのでしょうか?

まず、公正証書は「公文書」であるという点です。

これに対し、契約当事者間で作成した文書を「私文書」といいます。

「私文書」の場合ですと、改ざん等のリスクが無いわけでないので、その際に変更されてしまった内容についての立証に労力を割くことになります。

一方で、「公文書」の場合は、改ざん等のリスクはほとんどありませんので、公文書であるというだけで非常に高い証拠力が認められます。

次に、公正証書に執行力を持たせることが可能であるという点です。

ここでいう「執行力」というのは、分かりやすくいえば、裁判で判決をもらわなくても強制執行ができるという意味です。

ただ、「執行力」を持たせることができるのは、例えば、売買代金の支払いや貸金の返還など、金銭の支払いを内容とする場合に限られます。

そして、「執行認諾文言」を必ず公正証書に盛り込まなければなりません。

裁判手続きを経ないで強制執行ができることになるので、金銭の支払いを内容とする契約については非常に強力なものとなります。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書が取れないときの対応

契約書の作成を打診した際に、「ウチを信用してるんでしょ?」といった形で契約書の作成を避けようとするケースがあります。

このような場合は、どのように対応すれば良いでしょうか?

まず、本当に相手が信用できるのでしたら、契約書を作成しないのも一つの選択肢でしょう。

次に、取引内容の確認的な体裁で書類を作成して、相手の押印を求めることも有用です。

これは、条項立ての契約書には抵抗があっても、メモ書き程度のものであれば意外にあっさりと押印することも多いからです。

これだけでも、証拠力が立派に認められる書類になります。

信用できる相手だとの確信がなく、何の書類も取れないような場合は、契約未成立として処理することも考えましょう。

相手業種の慣習なども考える必要もありますが、原則論からすれば契約は「申込」と「承諾」によって成立します。

口頭で成立済の契約を未成立とするのは矛盾しますが、書類を作成していないことのリスクを補うために、あえて未成立である旨の書類を相手に送ります。

つまり、契約書への押印が契約成立の条件とする考え方で対応するということです。

それでも、相手が契約は口頭で成立しているとして強引に取引を進めようとすることも考えられます。

そこで、口頭での交渉の段階で「契約の成立時期は契約書への記名押印時とする」として交渉を進めてリスクを減らしましょう。

その際には、「忘れないため」と言って交渉を録音する工夫も考えましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所