ほとんどの契約書では、契約書のタイトルの次の部分に、「○○を売主(以下、「甲」という。)とし、●●を買主(以下、「乙」という。)とし、次のとおり動産の売買契約を締結する。」といった記載がなされます。
これには、どのような機能があるのでしょうか?
1.当事者の特定
誰が契約の当事者であるかを特定します。
そして、契約書の全部に当事者の氏名や商号をその都度記載するのは迂遠ですので、便宜「甲」や「乙」などと言い換えて、契約条項中では簡略な形で表現します。
2.契約内容の特定
どのような内容の契約を締結するのかを特定します。
例えば、売買契約なのか請負契約なのか、基本契約なのか個別契約なのか、付随契約なのかといった部分の特定をします。
また、債務承認契約や損害賠償の示談では、何時発生した何の債務なのか、どういった損害なのかを特定する部分でもあり、非常に重要な機能があります。
この他、当事者が契約締結にあたっての経緯や動機を記載することもあります。
経緯や動機が記載されている場合には、後日争いになった際に、解釈の指針としての意味を持ってくることがあります。
普段は、個別の条項に目が行きがちですが、前文にも重要な機能がありますので、十分注意して内容を検討しましょう。
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