経営支援集団スリーフォルム

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売買契約

契約と危険負担条項

商品や製品の売買契約では、「危険負担」について定めることがほとんどです。

ここで、「危険負担」とは何かというと、債権者と債務者双方に責任がないケースで、商品や製品が滅失または損傷してしまった場合、どちらが損失を負担するのかということです。

民法534条1項は、目的物が特定されている双務契約(ここでは売買契約と考えます。)については、その目的物が債務者に責任なくして滅失し、または損傷したときは、債権者がその滅失または損傷を負担するとしています。

どういうことかというと、売買契約が締結されたら、目的物の引渡前に、大規模地震などで売主の責任無くして滅失または損傷してしまっても、買主は代金の全額を支払わなければならないということを意味します。

しかしながら、これでは取引の実態に合わないケースが多々出てきます。

そこで、民法534条が任意規定(契約で特に決めた場合は排除できる規定)ですので、契約で目的物の引渡時に「売主から買主に危険を移転する」旨の特約を付けます。

このようにして、契約書では危険負担条項を定める事によって、取引の実態に合わせているのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の目的物・サービス内容規定

契約内容で最も重要な事項の一つとして、契約の目的物やサービスの内容が挙げられます。

売買契約では、どのような商品なのか、どのようなサービスの提供を受けるのかをしっかり特定する必要があります。

また、業務委託契約では、どのような業務をお願いするのか、どのような内容で受けるのかをしっかり特定する必要があります。

製造請負契約やOEM契約では、どのような仕様に基づいて製品の製造を行うのかをしっかり特定する必要があります。

これらの内容が明確になっていないと、目的物の納品や受けたサービスの内容が契約当初にイメージしていたものと異なる場合、提供する側としてはクレームを受けるリスクを負うことになりますし、受ける側としては相手に代替物の納品や損害賠償の請求が困難になるリスクを負うことになってしまいます。

ビジネスでの契約は、必ず対価を伴うものになりますので、契約の目的物やサービスの内容に疑問を差し挟む余地のない程度に明確にしましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の前文

ほとんどの契約書では、契約書のタイトルの次の部分に、「○○を売主(以下、「甲」という。)とし、●●を買主(以下、「乙」という。)とし、次のとおり動産の売買契約を締結する。」といった記載がなされます。

これには、どのような機能があるのでしょうか?

1.当事者の特定

誰が契約の当事者であるかを特定します。

そして、契約書の全部に当事者の氏名や商号をその都度記載するのは迂遠ですので、便宜「甲」や「乙」などと言い換えて、契約条項中では簡略な形で表現します。

2.契約内容の特定

どのような内容の契約を締結するのかを特定します。

例えば、売買契約なのか請負契約なのか、基本契約なのか個別契約なのか、付随契約なのかといった部分の特定をします。

また、債務承認契約や損害賠償の示談では、何時発生した何の債務なのか、どういった損害なのかを特定する部分でもあり、非常に重要な機能があります。

この他、当事者が契約締結にあたっての経緯や動機を記載することもあります。

経緯や動機が記載されている場合には、後日争いになった際に、解釈の指針としての意味を持ってくることがあります。

普段は、個別の条項に目が行きがちですが、前文にも重要な機能がありますので、十分注意して内容を検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

注文書は契約書になる?

商品の売買契約や建設業等での請負契約の取引の際に、いわゆる契約書を作成することなく、注文書が送られてきたら商品を発送したり工事に取りかかったりすることがよくあります。

では、注文書だけで契約書を作成したことになるでしょうか?

答えは、NOです。

というのも、契約は「申込」と「承諾」で成立します。

そして、注文書は「申込」にはなりますが、これに対応する「承諾」がないからです。

それでは、注文書を活かして契約書とするにはどうすればよいでしょうか?

それは、注文請書を作成して(または作成してもらって)、注文書と合わせることで契約書とすることができます。

つまり、注文請書が「承諾」になるので、「申込」である注文書と「承諾」である注文請書を合わせると、契約の成立要件である「申込」と「承諾」があった事実を証明することができるのです。

「契約書」は1つの書類で作成しなければならないというルールはありませんので、上記のケースの様に2つの書類を合わせて契約書とすることもできるのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所