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契約書の定義規定

表記の長い用語が複数回使われる場合や、一つの言葉に複数の意味が考えられる場合には、契約条項の初めの部分に定義規定を置くことがあります。

それでは、定義規定を置くことの意味はどのようなところにあるのでしょうか?

まず、表記の長い同じ用語が複数回使われる場合には、その都度表記していたのでは読みにくくなってしまいます。

そこで、表記の長い用語を短い言葉で定義することで、迂遠な表現を極力避けることができます。

次に、一つの言葉に複数の意味が考えられる場合には、解釈上争いが生じてしまう場合があります。

例えば、単に「顧客」と書かれていた場合、どのように捉えられますか?

様々な捉え方が出てきたのではないでしょうか。

そこで、定義条項で、例えば「顧客とは、甲に対して○○の購入を注文した者をいう。」のように規定することで、契約上の「顧客」の意味を明確にすることができます。

「商品」とか「製品」といった記載も、上記と同様の問題が生じ得ますので、定義条項を活用することで無用な争いを避けるようにしましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書の前文

ほとんどの契約書では、契約書のタイトルの次の部分に、「○○を売主(以下、「甲」という。)とし、●●を買主(以下、「乙」という。)とし、次のとおり動産の売買契約を締結する。」といった記載がなされます。

これには、どのような機能があるのでしょうか?

1.当事者の特定

誰が契約の当事者であるかを特定します。

そして、契約書の全部に当事者の氏名や商号をその都度記載するのは迂遠ですので、便宜「甲」や「乙」などと言い換えて、契約条項中では簡略な形で表現します。

2.契約内容の特定

どのような内容の契約を締結するのかを特定します。

例えば、売買契約なのか請負契約なのか、基本契約なのか個別契約なのか、付随契約なのかといった部分の特定をします。

また、債務承認契約や損害賠償の示談では、何時発生した何の債務なのか、どういった損害なのかを特定する部分でもあり、非常に重要な機能があります。

この他、当事者が契約締結にあたっての経緯や動機を記載することもあります。

経緯や動機が記載されている場合には、後日争いになった際に、解釈の指針としての意味を持ってくることがあります。

普段は、個別の条項に目が行きがちですが、前文にも重要な機能がありますので、十分注意して内容を検討しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

確定日付の活用

確定日付とは、その日にその文書が存在していたことを証明するものをいいます。

それでは、確定日付は主にどのような場合に使うのでしょうか?

まず、法律上要求されるものとして、債権を譲渡したときに第三者にも主張できるようにするために、債務者に債権譲渡の通知をする場合の通知や、債権譲渡についての債務者の承諾書があります。

これは、主に内容証明郵便で行います。内容証明郵便の日付も確定日付となるからです。

次に、抵当権設定などの担保権の取得が、租税債権との関係で法定納期限以前であることを証明するために、担保権設定契約書に公証役場で確定日付の付与を受けることがあります。

これは、担保権と租税債権の優劣について、法律上、担保権が優先するには租税債権の法定納期限以前に取得したものである必要があるからです。

最後に、時効中断のために確定日付を活用します。

時効が中断する事由の一つとして、「債務者の承認」があります。

債務者が作成した債務の承諾書のみでもその時効中断の効果が認められますが、作成日の立証を容易にするために、公証役場で確定日付の付与を受けます。

この他にも、保証契約で確定日付の付与を受ける場合などの活用方法もあります。

様々な場面で確定日付の活用が考えられますので、「日付」が重要な場合は確定日付の付与を検討しましょう。

なお、公証役場で受けられる確定日付の文書は、「私文書」に限られます。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

保証の契約当事者

契約で保証人を立てる場合、「(連帯)保証人は、債務者が負担する債務の一切を保証し…」と契約書に書かれます。

保証も契約ですが、それでは保証契約は誰との間で結ばれるものでしょうか?

それは、債権者と保証人です。

つまり、主債務者と保証人ではないのです。

保証人には主債務者からなってもらうようにお願いされますが、契約はあくまで債権者と結ぶことになります。

そうすると、例えば、主債務者が十分に債務を弁済する能力を備えたので保証を外してもいいなと思っても、保証を外すにあたっては債権者の承諾が必要となります。

また、会社の代表者の借り入れに配偶者を連帯保証人とするケースがよくありますが、配偶者を連帯保証の負担から解放しようとして別の人を連帯保証人としようとした場合、やはり保証契約の当事者は、あくまで債権者と連帯保証人ですので、債権者が納得しなければ連帯保証人を変更することができません。

誰を保証人としてお願いするのかも重要ですが、保証契約が誰との間で締結されるのかということも、しっかりと覚えておきましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

保証と連帯保証の違い

一般的な契約では、連帯保証人を立てることが非常に多いのですが、保証には、「単なる保証」と「連帯保証」があります。

まず、保証とは、保証される人(これを主債務者といいます)が契約上の債務を履行しないときに、債権者に対して履行する責任を負うことをいいます。

これは、「単なる保証」でも「連帯保証」でも同じです。

それでは、「単なる保証」と「連帯保証」の一番大きな違いはどこにあるのでしょうか?

それは、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」の有無です。

「催告の抗弁権」とは、債権者が保証人に債務の履行を請求した際に、保証人は、まず主債務者に催告をすべきことを請求することができる権利をいいます。

「検索の抗弁権」とは、債権者が保証人に催告の抗弁権を主張されて主債務者に催告をした後でも、保証人が主債務者に弁済能力があって、かつ執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主債務者の財産について執行しなければならないことを主張できる権利をいいます。

そして、「単なる保証」の場合は、保証人は「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」がありますが、「連帯保証」の場合は、連帯保証人にこれらの権利がありません。

そうすると、連帯保証の場合は、主債務者が履行しないときには、債権者は無条件で連帯保証人に履行の請求ができることになります。

このような違いがあるため、契約で保証人を立てる場合は、そのほとんどが連帯保証となるのです。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

期間の計算

継続的な関係が発生する契約内容では、必ず契約期間が設けられます。

それでは、期間はどのように計算するのでしょうか?

まず、期間の最初の日が24時間を満たない場合(例えば、4月1日に契約を締結して同日を初日にする場合。)は、初日を参入しません。

これを、「初日不算入」といいます。

この場合は、契約期間が例えば4月1日から10日間とした場合、末日は4月11日となります。

一方、契約締結が3月31日で、期間の初日が4月1日の場合は、初日を算入します。

この場合は、契約期間が例えば4月1日から10日間とした場合、末日は4月10日となります。

この他にも、週や月、年単位で期間を定めることが多いですが、期間の計算で勘違いしないよう十分に注意しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書を公正証書にする意味

契約内容を書面にする際に、公正証書で作成するケースがあります。

公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公文書のことをいいます。

それでは、契約内容を公正証書で作成する意味はどこにあるのでしょうか?

まず、公正証書は「公文書」であるという点です。

これに対し、契約当事者間で作成した文書を「私文書」といいます。

「私文書」の場合ですと、改ざん等のリスクが無いわけでないので、その際に変更されてしまった内容についての立証に労力を割くことになります。

一方で、「公文書」の場合は、改ざん等のリスクはほとんどありませんので、公文書であるというだけで非常に高い証拠力が認められます。

次に、公正証書に執行力を持たせることが可能であるという点です。

ここでいう「執行力」というのは、分かりやすくいえば、裁判で判決をもらわなくても強制執行ができるという意味です。

ただ、「執行力」を持たせることができるのは、例えば、売買代金の支払いや貸金の返還など、金銭の支払いを内容とする場合に限られます。

そして、「執行認諾文言」を必ず公正証書に盛り込まなければなりません。

裁判手続きを経ないで強制執行ができることになるので、金銭の支払いを内容とする契約については非常に強力なものとなります。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

契約書が取れないときの対応

契約書の作成を打診した際に、「ウチを信用してるんでしょ?」といった形で契約書の作成を避けようとするケースがあります。

このような場合は、どのように対応すれば良いでしょうか?

まず、本当に相手が信用できるのでしたら、契約書を作成しないのも一つの選択肢でしょう。

次に、取引内容の確認的な体裁で書類を作成して、相手の押印を求めることも有用です。

これは、条項立ての契約書には抵抗があっても、メモ書き程度のものであれば意外にあっさりと押印することも多いからです。

これだけでも、証拠力が立派に認められる書類になります。

信用できる相手だとの確信がなく、何の書類も取れないような場合は、契約未成立として処理することも考えましょう。

相手業種の慣習なども考える必要もありますが、原則論からすれば契約は「申込」と「承諾」によって成立します。

口頭で成立済の契約を未成立とするのは矛盾しますが、書類を作成していないことのリスクを補うために、あえて未成立である旨の書類を相手に送ります。

つまり、契約書への押印が契約成立の条件とする考え方で対応するということです。

それでも、相手が契約は口頭で成立しているとして強引に取引を進めようとすることも考えられます。

そこで、口頭での交渉の段階で「契約の成立時期は契約書への記名押印時とする」として交渉を進めてリスクを減らしましょう。

その際には、「忘れないため」と言って交渉を録音する工夫も考えましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(役員)

相手企業の登記事項証明書で、あなたは役員欄をどのように見ていますか?、

例えば、ある時期に突然役員全員が入れ代わっていた。

この場合は何が想定できますか?

企業買収があった可能性があります。

また、ある役員が「解任」されていた。

この場合は何が想定できますか?

会社内部で紛争や不祥事があった可能性があります。

安定した取引をするためには、役員全員の入れ代わりや解任の理由を、相手の担当者にしっかり説明してもらいましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所

取引先の登記事項証明書を見る(資本金の額)

かつて株式会社を設立するには、資本金が最低1000万円必要でした。

一方、現在では資本金が1円でも株式会社の設立ができます。

では、相手会社の資本金の額が10万円である場合は何が想定できますか?

財産的基盤が不安定な可能性があります。

資本金は、その性質上「返さなくて良いお金」です。

一方で、銀行などの金融機関からの借入れは「当然に返さなければならないお金」です。

取引内容に比べて資本金の額があまりにも少ない場合は、取引先の資金がショートするリスクが高くなります。

相手の財務内容をしっかりと把握しましょう。

執筆:企業法務専門の福本匡洋総合司法書士事務所・福本総合行政書士事務所